京都市の中心に位置する中京区にある「京都町家麦酒醸造所(きょうとまちやばくしゅじょうぞうしょ)」。京都町家麦酒醸造所では、創業から240年以上の歴史をもつ「キンシ正宗」の酒を育んでいた酒蔵を活用し、京のクラフトビールをつくっています。
実は京都はクラフトビールの激戦区。醸造所をはじめ、京町家をいかしたお店だけでもGION TACHINOMI 山根子や、KAWA BAR KYOTO、SIGHTS KYOTOなど市内各地で魅力的なクラフトビールに出会えます。
京都町家麦酒醸造所に隣接する「堀野記念館」では、クラフトビールや日本酒の購入もできる、お薦めスポットです。
*この記事は、町家や古民家の魅力を伝える、姉妹サイト「ケのハレ」から転載しています
京都町家麦酒醸造所について
地下鉄丸太町駅7番出口から徒歩7分の「京都町家麦酒醸造所」は、天明元年(1781)創業の酒蔵「キンシ正宗」が手がけるクラフトビールの醸造所です。
こちらの建物は、かつて「キンシ正宗」の酒蔵として使用されてきました。
先人が大切に守ってきた伝統的建築物としての酒蔵の姿を変えることなく、地麦酒作りのための設備を導入。
京都町家麦酒醸造所は、まさに京都の地麦酒と呼ぶにふさわしい環境で醸造されています。
京都町家麦酒醸造所
・住所:京都府京都市中京区堺町通二条上ル亀屋町173
・TEL:075-223-2178
京都町家麦酒醸造所を営む酒蔵「キンシ正宗」
京都町家麦酒醸造所を営む「キンシ正宗」。「金鵄正宗」の創業者堀野家の初代松屋久兵衛は天明元年(1781)中京の堺町通二条上ル亀屋町で良質な水を生かして酒造りを始めました。
京の水のやわらかな特色をいかすために麹菌や酵母菌のいとなみを管理し、一年を通じて均一で高品質な日本酒づくりをすすめられています。
初代松屋久兵衛の名を冠したのが、このの純米大吟醸。
兵庫県産山田錦を100%使用し35%まで精米。製麹に麹蓋を使用し、杜氏入魂の手造りで丁寧に醸されたお酒です。低温にて長期間醗酵させることで、すっきりした飲み心地、まろやかなコクと香りが味わえます。
京都町家麦酒醸造所でつくられるクラフトビール
京都町家麦酒醸造所では、あえて独自の芳香とコクにこだわり、上面発酵を採用しています。
ケルシュタイプの町家麦酒は、日本地ビール協会主催のジャパンカップ’99のジャーマンエール部門で銀賞を受賞するほど、その質が評価されている、京都町家麦酒醸造所の中でもおすすめの1種。
今回お薦めいただいたのは、京町屋で造られたドライスタウトタイプの「京都平安麦酒 くろおす」。ロースト麦芽の深いコクとキレの良い味わいが特徴でした。
もちろんスタウトだけでなく、IPAやアルトタイプ・ケルシュタイプなど、京都町家麦酒醸造所では複数の魅力あるビールを楽しむことができます。
京都町家麦酒醸造所の仕込み水は日本酒の醸造に使われていた「桃の井」名水。一口飲ませてもらいましたが、やわらかくて甘みのある軟水でした。
京の食文化に馴染み、根付いてゆくことのできる味を目指した京都町家麦酒醸造所のクラフトビールは、長年培ってきた酒造技術と職人たちの磨き抜かれた舌で研究を重ね、京の食を引き立てる上品な味わいに仕上げられたものでした。
国の登録有形文化財でもある、堀野記念館でクラフトビールと歴史を学ぶ
京都町家麦酒醸造所のお隣、「堀野記念館」では、クラフトビールのほか、日本酒が購入できる売り場があり、「キンシ正宗」の歴史を学べぶことができます。
堀野記念館の名は、かつて堀野家の本宅であったことに由来しています。その歴史は古く、天明元年(1781年)、若狭出身の初代松屋久兵衛がこの地に造り酒屋を創業したことに始まります。明治13年(1880年)に酒造拠点は伏見に移されましたが、屋敷や酒造道具類は当時の様子を伝える文化資産として、今に受け継がれています。
間口約26m、奥行約30m、広い敷地の南側に位置するのが、切妻造段違桟瓦葺の主屋。切子格子やむしこ窓など、町家らしい造りを観ることができます。
また、北側の土間は庭や土蔵と主屋をつなぐ重要な役割を果たしています、敷地奥には南から文政3年(1820年)の上棟を表す棟札が残る文庫蔵、酒造、北蔵と3つの土蔵があり、これらも切妻造段違桟瓦葺の建築物として町家文化を今に伝えています。
コロナの影響もあり、現在は本宅の方には入れませんが、土間を活用したコーナーには入場できるので、町家と酒造りの歴史を紹介、酒造りの貴重な道具の一部を目にすることができます。
京都町家麦酒醸造所とあわせてぜひ訪問してみてください。
堀野記念館
・住所:京都府京都市中京区堺町通二条上ル亀屋町172
・TEL:075-223-2072
・営業時間:11~17時